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【和歌山】世界遺産の熊野古道を歩く!熊野本宮大社に続くルートと見どころを紹介
すべてに神が宿る自然崇拝の起源・熊野
マナさん、「熊野古道(くまのこどう)」を知っていますか?雄大な自然と歴史、そして神聖な空気を感じられる場所だと聞いたので、ぜひ行ってみたいのですがガイドをお願いできませんか?
はい、お任せください!ちなみに、「熊野古道」は、紀伊半島の南部、和歌山県にある熊野三山への巡礼の道です。和歌山県内だけでなく、隣県の三重県伊勢や京都・奈良などから熊野へと続く参詣道の総称なんですよ。
そんなに広い範囲なんですね!全部歩くのは大変そうだけど、大丈夫かなぁ……
大丈夫ですよ。熊野三山への参拝ルートはいくつかあって、初心者の人でも訪れやすいルートや熊野三山や名所を巡る定期観光バスなどもありますから。
主要スポットをバスで巡ることもできるんですね!難易度が高いのかな~っと心配していましたが、初めての人でも安心なんですね。マナさん、さっそくガイドお願いします!
熊野古道、5つの巡礼の道
では、参詣の前に、熊野古道と呼ばれるルートや参詣者が目指す熊野三山について、もう少し詳しく紹介しますね。
まず、熊野三山とは、「熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)」「熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)」「熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)」の3つの神社の総称です。並んで建っているわけではなく、それぞれ20kmから40kmほどの距離があります。
3つとも広い熊野の地に点在しているんですね。
そうですね。そして熊野三山へとつながる参詣道が、熊野古道です。「紀伊路(きいじ)」「小辺路(こへち)」「中辺路(なかへち)」「大辺路(おおへち)」「伊勢路(いせじ)」「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」の6つのルートがあります。
・紀伊路:京都府の城南宮をスタートし大阪府などを経由して熊野三山へ向かう道
・小辺路:本宮と高野山を結ぶ道
・中辺路:和歌山県の田辺をスタートし山中を本宮へ向かう道
・大辺路:和歌山県の田辺をスタートし海沿いを歩く道
・伊勢路:三重県の伊勢神宮から本宮へ通じる道
・大峯奥駈道:吉野大峯と本宮をつなぐ山伏たちの修行の道
京都や伊勢神宮まで!いろいろな場所から熊野三山を目指すことができるんですね。ちなみに、初心者にはどのルートがおすすめですか?
熊野古道の人気スポットでもある「大門坂」をスタートし、「熊野那智大社」を目指すルートが、時間もあまりかからず、熊野古道らしい自然も感じられて人気ですよ。中辺路の一部で、時間は往復2時間ほどです。
熊野古道のご利益と歴史
ちなみに、熊野古道は今でこそ道路や交通網が整備されていますが、昔はとても険しい道のりだったんですよ。
そうなんですね。でも、険しい道のりなのに、どうして多くの人が向かったんでしょうか?
熊野の地は死後の国と通じている黄泉(よみ)の国と信じられ、「よみがえりの聖地」と言われているんです。苦難の道をたどることで自分の罪や穢れ(けがれ)を払い、熊野本宮大社の阿弥陀如来を参拝することで新しい自分に生まれ変われると伝えられていて、多くの人が聖地を目指したようですよ。
穢れを払って生まれ変われる場所だなんて、強力なパワースポットなんですね。私もパワーをもらって、新しい自分へとステップアップしたいな……
そうですね。今から約1000年前の平安時代に貴族などの上流階級の人が訪れるようになり、「熊野詣(くまのもうで)」と呼ばれるようになりました。約400年前の江戸時代には庶民もこぞって参拝するようになり、「蟻の熊野詣」と表現されるほどだったんですよ。
へぇ~!そんな昔からですか!現代のように飛行機や電車はないのに、すごいですね。
そうなんです。多くの人が祈りを込めて歩いた熊野古道は、2004年7月に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されました。道が世界遺産になるのは、スペインに続いて世界で2例目なんですよ。
世界遺産の中を歩けるんですね!貴重な経験ができて嬉しいな♪
今回は定期観光バスを利用して、熊野古道で外せない人気スポット巡りも織り交ぜながら歩いてみませんか?
はい!お願いします!
熊野本宮大社
ところでマナさん、熊野三山の神社はそれぞれどんな神社なんですか?
そうでしたね。では、熊野詣に行くなら必ず参拝したい「熊野本宮大社」から紹介しますね。
どのルートも必ず本宮を通っていますもんね!
そうなんです。いわば、熊野古道の中心地。2050年以上の歴史を持ち、再生のほか、家庭円満や大漁満足などさまざまなご利益があると言われています。
2050年なんて、途方もなく長い歴史ですね!
さあ、着きました。鳥居をくぐり、158段の階段を登ると見える檜皮葺(ひわだぶき)の荘厳な建物が社殿ですよ!
カラスの像や紋章がたくさんありますが、これはなんですか?
「八咫烏(やたがらす)」と言って、3本の足を持つカラスです。導きの神として信仰を集めており、サッカー日本代表のマークにも使われていますよ。
大斎原(おおゆのはら)
熊野本宮大社とあわせてぜひ訪れたいのが、「大斎原(おおゆのはら)」です。熊野本宮大社からは歩いて約10分で、こちらはかつて熊野本宮大社があった場所なんですよ。
以前は別の場所にあったんですか!田んぼの中に建つ大きな鳥居が印象的ですね。
この大斎原は中洲になっており、橋がかかっておらず川を渡って参拝したそうです。水害で多くの社殿が流されましたが、残った社殿が現在の場所に遷座されたようですよ。
昔は本当に険しい道のりだったんですね……
そうですね。着物の裾を濡らしながら渡るのがしきたりだったようで、最後に身を清める意味もあったようです。この大斎原は神が舞い降りた場所とされ、パワースポットとしても注目を集めていますよ。
神聖な雰囲気がたまりません!この鳥居にも八咫烏のマークがついていますね。
はい。現在大斎原には2つの祠(ほこら)がお祀りされており、この鳥居は近年建てられたものなのですが、高さが約34m、幅が約42mもある日本一大きな鳥居なんですよ。
たしかに・・・圧巻ですね!
熊野速玉大社
続いて「熊野速玉大社」は、日本の神様の中で初めて御夫婦になられた神様を中心にお祀りしています。こちらは熊野三山の門前町として栄えた和歌山県新宮市にあるんですよ。
本当だ!熊野本宮大社と打って変わって街の中にある神社なんですね。
はい。ただ、境内には樹齢1000年を超えるナギの木がありますよ。
うわぁ~歴史を感じますね。
徒歩15分の場所にある、熊野速玉大社の摂社「神倉神社」は、急勾配な538段の石段を登った山の中腹の「ゴトビキ岩」という御神体に、熊野大神が初めて御降臨された熊野信仰の聖地です。ここからは新宮市内が一望出来るんですよ。
急勾配な石垣の上に建っているんですね。熊野速玉大社も神倉神社も、朱色の社殿がとてもきれいですね!
熊野古道大門坂
続いて立ち寄る「熊野古道大門坂」は、古くからの熊野古道の面影を色濃く残す名所です。
わあ!大きな杉の木の間に、苔むした石段が続いていて、幻想的な風景ですね。
神秘的な空気ですよね。全長が約600mの坂で、はじめに紹介した初心者におすすめのルートでもあります。
ゆるやかなこの石段を、ずっと昔からいろいろな人が歩いてきたんですね〜
感慨深いですよね。こちらはこの後に行く熊野那智大社へと続いています。大門坂から続く参道には食事処や甘味処もあるんですよ。
甘いスイーツ目指して頑張れそう……
熊野那智大社
さあ、大門坂を登った先には、「熊野那智大社」が見えてきますよ。
熊野那智大社は、熊野三山の一つですよね!
さすがルルさん、しっかり覚えていますね。熊野那智大社へ行くには、467段の階段を登らないといけないので、気合を入れて行きましょう!
ハァハァ・・・だんだん足が上がらなくなってきました。
ルルさん頑張って!熊野那智大社は、縁結びや開運招福のご利益があるとされる神社で、鮮やかな朱塗りの社殿がとても華やかなスポットです。
本当だ〜!とてもきれい!頑張って登ったから喜びもひとしおです!
那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)
熊野那智大社の境内でもう一つ見逃せないのが、「那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)」です。古くは熊野で修行する人々の本拠地でしたが、見どころは青岸渡寺の三重の塔です。
わー!三重の塔の向こうに滝が見えて、とてもフォトジェニックですね!
向こうに見える滝は那智の滝ですよ。この美しい景色は、熊野古道を代表する絶景なんです。これから滝にも向かいますよ。
まずはこの絶景をこの目にしっかりと焼き付けとかなきゃ!
那智の滝(飛瀧神社)
大門坂のスタート地点近くには「那智川(なちがわ)」が流れていますが、その上流にある名所が「那智の滝(なちのたき)」です。滝までのルートは石段が続くので、足元に注意してくださいね。
うわあ!とても高くて迫力満点ですね!
水の流れる勢いに驚きますよね。高さは133mもあり、日本一の落差を誇ります。
空気が澄んでいるような気がします。滝の前に鳥居があるんですね……
そうなんです。実はここは「飛瀧(ひろう)神社」という神社でもあるのですが、滝自体を御神体としており、社殿がない珍しい神社で熊野那智大社の別宮なんですよ。
滝自体が神様なんて、ますます偉大なパワーを感じますね。
ルルさん、もうすぐ日が暮れますね……。今のお気持ちはどうですか?
今日一日、熊野古道と名所を巡って、なんだか生まれ変わったような心地がします!
私もです。
まとめ
よみがえりの聖地として、今も信仰を集める熊野古道。神聖な空気が満ちていて、ゆっくりと自分と対話しながら歩く一人旅や女子旅にもおすすめです。熊野古道の一部として世界遺産に登録された湯の峰温泉「つぼ湯」など、ほかにも魅力的な観光スポットがたくさんあります。和歌山県公式観光サイトは、英語や中国語(繁体・簡体)など9つの言語に対応しているので、熊野古道の旅行計画を立てるのに役立ててくださいね。
【最寄り空港から熊野三山へのアクセス】
南紀白浜空港〜熊野本宮大社 約1時間
南紀白浜空港〜熊野速玉大社 約2時間
南紀白浜空港〜熊野那智大社 約2時間